学校と言えば、学ぶ「生徒」と教鞭をとる「教員」が中核となり教育活動が行われますが、学校事務職員はそういった主役たちの活動を陰で支えるため、学校の運営面で多種多様な役割を担っています。
この記事では、私立高校の学校事務職員を目指している方や、仕事内容を詳しく知りたい方に向けて、事務職員が普段どのような業務が行われているのか、具体的な仕事内容について現役の私立高校事務職員が解説します。
私立高校事務職員には様々な業務がある
私立高校の学校事務職員の仕事を大きく分けると以下の業務があります。
少ない人数で運営しているため、一つだけでなく複数の分掌を担当していることも多いです。
各分掌について一つずつ具体的な内容を紹介していきます。
人事労務:教職員の給与計算や入退職手続き、出退勤管理など
会計経理:予算管理や授業料の納入、経費精算、業者支払いなど
助成関係:奨学金や就学支援金などの申請・受付業務
教 務:成績処理や入学・転校手続き、教科書の購入など
広 報:説明会運営、広報物の制作、入試準備など
施設管理:建物や設備の点検や修繕、業者委託など
【庶務】証明書の発行や来校者対応、各種手続きなどの窓口業務
庶務は、学校事務の中でも基本的な業務の一つで、在校生や保護者、その他外来者など、さまざまな人々と接する窓口業務があります。
具体的には、窓口で受けた在学証明書や卒業証明書など各種証明書の申請に基づき書類を発行をしたり、生徒の住所や連絡先などに変更があればその手続き、外来者からのアポイントの取り次ぎ、電話応対などを行います。
窓口担当は来校される方々にとって学校の顔となります。保護者、卒業生、取引業者、塾や大学などの先生、地域住民など様々な方が来校されるので、事務職員は外来者に対する丁寧な対応が求められます。
【人事労務】教職員の給与計算や入退職手続き、出退勤管理など
人事労務では、教職員の給与計算や入退職に関わる諸手続きを担当します。給与計算では、教職員の出勤状況や残業時間、有給休暇などの管理が求められます。
人事といえば採用業務がありますが、学校の労働者といえばほとんど教員のため採用に関わる手続きは対応するものの、求人掲載や面接などは教員や管理職が担当することが多いです。
他には教職員が安心して働ける環境を提供するために、福利厚生に関する手続きやサポートも行います。これには、保険や年金、育児休業の申請手続きなどが含まれます。教職員の働きやすさを支える重要な役割を担っています。
【会計経理】予算管理や授業料の納入、経費精算、業者支払いなど
会計経理では、主に学校運営に関わるお金の部分、つまり財務管理を担当します。
様々な経費の精算、業者への支払い、授業料納入の管理を行いながら、会計ソフトへ入力していき、決算に向けて帳簿を締め、財務諸表を作成します。また定期的に行う監査への対応もあります。
財務管理は学校経営に直結した非常に重要な役割を担っています。数字を扱う業務が多いため、慎重かつ正確な作業が重要となります。
学校会計業務は基本的には一般企業の業務と変わりませんが、学校会計特有の考え方・ルールがあるため、会計・経理経験者でも慣れが必要になります。
【助成関係】就学支援金や奨学金などの申請・管理業務
助成業務では、学生に対する経済的支援の一環として、国の就学支援金や地方自治体の支援金・奨学金、学校独自の奨学金があればその制度の申請・管理を行います。
様々な助成金制度は学校が窓口となって受け付けることが多く、担当者は対象世帯にしっかりと支援が届くよう生徒や保護者に様々な制度を漏れなく周知し、申請の管理を行う必要があります。
これらの助成は生徒や保護者にとって、生活に直結するお金に関わる部分のため、正確で迅速な対応が求められます。また、様々な助成金制度は毎年内容の変更が入るため、最新情報を常に把握しておくことも大切です。
【教務】成績処理や入学・転校手続き、教科書の購入など
教務では、生徒の成績処理や成績書類の発行、入転学手続きを行います。
具体的には教員から提出された成績情報を集計し、成績証明書や調査書の発行したり、進級・卒業の判定資料の作成を行います。また、入学の手続き・準備や在校生からの転学希望があれば転学先との書類のやり取りも教務の仕事です。
ほかには、授業に必要な資料の準備やコピー、試験問題の印刷、各種会議の資料作成などが含まれます。最近では、ICTを活用した教育が進んでいるため、ICT機器やシステムの管理・運営も教務の業務に含まれることがあります。
学校によっては時間割編成・欠員時の代替措置対応や、教科書の購入手配も教務の事務職員が関わることがあります。教務ではこれらの業務を通して、生徒や教員の教育活動を支えています。
【広報】説明会運営、広報物の制作、入試準備など
広報業務では、学校の魅力を外部に発信し、受験生や保護者にアピールする役割を担います。具体的には、学校説明会の運営や広報物(パンフレットやウェブサイト)の制作、外部フェアへの出展、塾や受験してくる学校との関係作り、入試の準備・運営などを行います。
また、学校HPのお知らせ更新も広報の役割です。昨今ではSNSに力を入れている学校は多く、広報担当はこれらのツールを積極的に活用し、学校の知名度やブランドイメージを向上させることが重要です。
他方、入試業務では受験生への的確な情報提供と厳格な入試運営が求められるため、当日に運営上のミスが起きないよう綿密な計画を練り、トラブル時も柔軟に対応できるようしっかりとした準備が必要です。
【施設管理】建物や設備の点検や修繕、業者委託など
施設管理は、学校の建物や設備の保守・点検、修繕計画の実施、清掃・衛生管理、植栽管理、災害時の備蓄の管理、またそれらの業者委託などハード面の学校運営を担当します。
学校は日々多くの生徒が様々な活動を行うため、建物の老朽化による事故が起きないよう、また火災や地震の際に防災設備がしっかりと作動し、被害が抑えられるよう、施設管理の担当者は安全管理面で重要な役割を担っています。
これらの幅広い施設管理業務は一人で行うことはできないため、基本的には様々な業者に依頼して、施設管理担当者はそれらを統括する役割を担います。
このほか、体育館などの施設を貸し出している場合は施設利用の調整なども行います。これらの業務を通じて、教職員や生徒が安心して教育活動に専念できる環境を提供します。
まとめ
私立高校の学校事務職員の仕事は、学校運営の基盤を支える重要な役割を果たしています。
庶務、人事労務、会計経理、助成関係、教務、広報、施設管理など、多岐にわたる業務を担当し、それぞれの業務が学校の円滑な運営に欠かせない要素となっています。
これらの業務を通じて、生徒や教職員が安心して学びや教育活動に集中できる環境を提供しています。
学校事務職員を目指す方にとって、これらの仕事内容を理解することは、就職・転職活動の参考や今後のキャリア形成において非常に役立つでしょう。
限定求人多数!学校事務の求人を探すならリクナビNEXT

私立学校事務職員の求人を探すなら「リクナビNEXT」がオススメです。
有名大学・高校の事務職員の求人が多く掲載されていて、リクナビ限定求人もあります。
実際に転職した人の約8割がリクナビNEXTを利用しているとのことで、学校事務を目指すのであればとりあえず登録しておいて損はありません。
また、書類選考や面接に自信がない人は実績豊富なアドバイザーや転職サポートがついている「リクルートエージェント」も活用していきましょう。